6月のラブソング

ご贔屓は大空祐飛さんと蒼羽りくちゃん。永遠にスペシャルなのは本山雅志選手。そんなももたが日々のよしなしごとを自己満足気味につづる日記です。

2017-06

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再生の灯@オペラ「死の都」びわ湖ホール日本初演感想

あれから3年。

いつもミツオが言うように、現地では復興が進んでいる面もあれば、遅々として進まない面もあり、すべての被災者が「日常」を取り戻す日はまだまだ遠いのだ、と思います。
せめて、大切なひとを、ものを、形のない、けれどかけがえのない何かを喪った方々の心に、たとえささやかでも確かに灯がともりますように…と祈ります。



…そんな、今の時期に見たからこそ、より胸に迫った舞台の話をします。

J開幕、ちぎみゆ、物議を醸すラインナップ発表、雪全ツ…と、相変わらず書くべき話題は満載なのですが、びわ湖ホールのある街に暮らす音楽ファンとして、これは記録にも記憶にも残しておかなければ。

コルンゴルトのオペラ「死の都」日本初の舞台上演となった3月8、9日のびわ湖ホール、両日とも観てきました。

オペラに関しては、まだまだ素人同然の私ですが、でも、素晴らしかった。
特に、ラストの演出。
蠟燭の小さな灯りが、主人公の再生を照らす灯であるとともに、愛するひとを喪ったすべての人々への再生への祈りのように見えて、「3月11日」を目前にしたこの時期の日本で上演する意味のあるオペラなのだ、と胸を打ちました…。


「死の都」はオーストリア=ハンガリー帝国(現チェコ)生まれの音楽家コルンゴルトが23歳の時、小説「死の都」を題材につくったオペラ。欧州の歌劇場では定番レパートリーにも入るほど有名なオペラだそうです。


舞台はベルギーの古都ブリュージュ。
愛する妻マリーの面影を追って生きていた主人公パウルは、ある日マリーに生き写しの踊り子マリエッタと出会う。
パウルはマリエッタに溺れるが、結局はマリエッタを通してマリーを追い求めているにすぎず、ついに破局が訪れる。
マリーの遺髪を侮辱したマリエッタに逆上したパウルは逆上し、その髪でマリエッタを絞殺する。
しかし、それは、パウルがわずかな時間に見た幻だった。
「死者は決して甦ることはないのだ」…。
現実に目覚めたパウルは、死の都から旅立つ決心をするのだった。


…というストーリー。退廃的な物語が後期ロマン派の甘美な音楽で綴られています。


私、最初はどちらかといえばマリエッタに感情移入して見ていたんですよね。
物語の中では、奔放で官能的で退廃した欲望の象徴として描かれているマリエッタですが、現代的な目線で見ると、生きること、愛することを楽しむ普通の女性。
マリーはこの作品の中では「聖女」扱いなのですが、歌詞をよく見ると、清楚で優しげな言葉で死んだ後もパウルを永遠に縛り付けて、マリーの方がよっぽどタチ悪いじゃん!(爆)

それなのに、パウルったらマリエッタに「お前を愛したことなど一度もない」とか酷い言い草でさ。
だいたい、「僕はなんて不幸なんだ!」って独白するオトコなんてロクなオトコじゃないよね(爆)
そんなパウルに罵倒されてるのに「あなたは苦しんでいるのね」って言えるマリエッタはあっぱれじゃないですか。

でも…3幕のラスト、パウルが現実に目覚めて旅立っていく最後のアリアを聴いたら、もう胸がいっぱいになっちゃって。
観る前は、ある意味壮大な夢オチでどうなの? って思ってたけど、でも、この作品のラストはこうである必要があるんだ、ってストンと胸に落ちました。

過去には、ラストでパウルの自殺をほのめかす演出もあったそうですが、少なくとも2014年の日本で上演する「死の都」は、絶対に、愛するひとを喪った苦しみを乗り越え、心に再生の灯をともすラストでなければならないと思ったし、この、あまりにも静かな、敬虔な幕切れを私は熱烈に支持します。


御年88歳の巨匠、栗山昌良氏による演出は、極力動きを押さえ、歌手が皆、正面を向いて歌うもの。
ネットで拾った感想で「夢幻能だ」っていうのがあったけど、確かにピッタリな表現だなと思いました。

実は私、お仕事で何度か事前取材をしたのですが、指揮兼総監督の沼尻マエストロは「時々、じっとして前を向いて歌うだけで時代錯誤な演出だ、という音楽評論家の評を見かけるけど、見当違いだ。オペラは客席に声を飛ばして聴かせることこそ基本だし、向かい合って歌うよりも、正面を向きながらちゃんと後ろにいる相手を意識して歌う方がずっと難しい」と力説なさってて。
実際の舞台を見て、なるほどなと思いました。

とにかく、私は、幕切れの演出がものすごーく好みで、それだけですべてがOK! な気分で見終わることができました。
オケの音が消えた後に、蠟燭の灯を手に、正面を向いたまま静かに下がっていくブリギッタ。
静かで、敬虔で、余韻の残るラストシーンでした。

今回、すごいな、と思ったのは、2幕アタマの舞台転換。
オペラ用につくられた3面舞台を持つ劇場、というびわ湖の特長をフルに生かした、大がかりなセット!
(びわ湖では年2回、自主制作のオペラをやっているのですが、もう1本は神奈川県民との共同制作なので、あちらのホールにない舞台機構のものは作れないんですよね、当然ですが。びわ湖単独でやるからこそ、の贅沢なセットなのです!)
ただ、実は、舞台稽古の時にバルコニー席から見た時が、一番迫力があって感動しました。
上から見ると、転換の一部始終が見えるので、本当にすごいし面白いの。
本番で、1階席で見ていると、ブリュージュの街のセットがセリ上がってくるのがなかなか見えなくて、やや時間がかかりすぎに思えてしまうのが、若干残念でした。

ちなみに装置は、ヅカファンの皆様にもお馴染みとなった松井るみさん。
幻想的で象徴的で美しいセット。
街のセットの下手上に浮かび上がる黒い満月とピエロたちのシルエットとか、秀逸でした。


キャストは、2日間ともそれぞれの良さがありましたが。

やっぱりMVPは、8日のマリー/マリエッタ砂川涼子さんでしょう!
最初から最後まで圧倒的で、華やかで美しくて。
私、砂川さんは去年の「椿姫」のヴィオレッタを初めて聴いて、その次が10月のガラコンサートで「ボエーム」のミミだったので、はかなげで可憐で声が細いイメージだったんですけど、こんな役も歌えるなんて!

パウルは、8日の鈴木准さんが、みずみずしい明るいテノールで、ビジュアルも良くて、素敵でした。
でも、地元住民としては、9日の山本康寛さんに思い入れがあるんですよね。
山本さんは、びわ湖ホール専属の声楽アンサンブルのメンバーで、伸び盛りの若手なのですが、当初予定していたパウル役の方が体調不良で降板されて、昨年暮れに急遽、代役が決まったのです。
私が今回、両日観たのも、やっぱりどうしても山本さんの実質本格的デビューを見届けたい、という思いがあったためで。
1幕アタマは、やはり緊張も相当あったのでしょうか、声量が足りなくて、声が響いてこなくて「頑張って~!」とハラハラしたのですが、尻上がりに良くなり、特に3幕のラストのアリアは堂々たる出来だったと思います。
今後、大舞台で歌う経験を積んでいけば、客席への声の飛ばし方とかももっと上手くなるはず。

パウルの友人フランクは8日の小森輝彦さん、9日の黒田博さんどちらもダンディで良い声でした。
家政婦ブリギッタは、8日の加納悦子さんは静かな迫力があって、去年の「ワルキューレ」の迫力満点のフリッカの好演を思い出しました。一方、9日の池田香織さんはより控えめで、でもパウルを見守る愛や優しさがにじみ出ていて、こちらも素敵でした。

2幕で「ピエロの歌」という聴かせどころがあるフリッツ(ピエロ)役は、9日の晴雅彦さんが生き生きと自由に歌い上げてて、すごく引き込まれました。
あと、9日のヴィクトリン役の二塚直紀さんも、輝かしい明るいテノールでいい声だったなぁ。私の好みの声でした。



沼尻さんの指揮と京響の演奏も良かったです。
甘く美しいけど、実際に演奏するのはものすごーく難しいであろうスコア。
取材でも何度も「こんなに音がたくさんあるオペラは初めてで、その分、指揮者としてはファイトが湧く(笑)」っておっしゃってた沼尻さんですが、その、膨大な音をきっちり交通整理して、甘く、端正に響かせてたと思います。
今の京響は私、弦の響きが特に好きなんですよね~。去年の「椿姫」の弦が素晴らしかったのですが、今回も良かったと思います。



ああ、それにしても、沼尻さんプロデュースのオペラは、好みかそうでないかというのは多少あるけど、少なくともクオリティという点ではホント外れなしだわ! いつも信頼して観ることができます。
沼尻さんはいつも「『びわ湖ホールのある生活』ができることが、滋賀県民、大津市民のプレミアム(というかステイタス、かな?)になればいい」という意味のことをおっしゃっているのですが、ホント、私はそれを堪能させていただいてます(笑)
幕間に、ホワイエから青い空と青いうみが広がる風景を眺めながらシャンパンを味わう至福!!!
(ただ、ワインやシャンパンの価格がボッタクリなんじゃないの、っていう点だけが残念なのですが(爆)。ロゼを頼むのは、結構勇気がいります。どこの劇場でもあんなもんなの?)


それにしても、お仕事で演劇担当になってヅカ&舞台演劇にはまり、今度はびわ湖ホールの担当になってオペラにはまり…。
お仕事の担当が替わるたびに出費のタネが増えて行ってしまうのはどうしたものか…(苦笑)

実は「死の都」は、12日から新国立劇場で、別のプロダクションでの上演があるんですよ。
びわ湖版を観て、そちらもとても観てしまいたくなってしまいました(笑…無理だけど)
チケットはまだあるのかな、関東にお住まいの方でご興味がある方はぜひ!


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プロフィール

ももた

Author:ももた
2005年5月からしばらくの間、演劇に関する文章を書くお仕事に携わっておりました。
(現在は別のジャンルの文章を書いております)
2006年5月、仕事で観劇した月組公演「暁のローマ」でカシウスに堕ち、坂道を転がるように現在に至ります。
タカラヅカとの出会いから立派なヅカヲタに至るまでの詳細は、ブログ内の「ゆうひさん堕ちの軌跡」全3回に書いておりますので、ご参照ください。
現在は、俳優としてのゆうひさんをまったりマイペースで愛でつつ、宝塚を中心に興味のある舞台を観ています。

2016年8月、9年前の初舞台から密かに(?)愛でてきたりくちゃんに、本格的に囚われていることをやっと自分で認めました。
これからはおおっぴらにファン道を歩きたいと思います(笑)

モトサポ歴は16年余。
何があろうと「モトヤママサシ至上主義」です。
同時に79年組を偏愛してます。
黄金世代は永遠です。
モトが18年在籍したクラブへの愛着はありますが、2016年は鹿観戦は少しお休みし、初心者ギラヴァンツ北九州サポとして一から勉強する所存です。

ヅカネタもサカネタも、基本的にミーハーかつフジョシ目線で語っております。
NGな方はスルーをお願いします。

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